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名誉も権力も商売もカネ次第

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清水  悟

 カネは天下の回り物。確かに大事なところでカネを使うと権威(名誉)も権力も手に入
れることが分かったし、商売も上手くいくようだ。公募美術団体「日展」、医療法人「徳
洲会」、自動車マフラー最大手「フタバ産業」のケースで考えてみよう。
 1万円を払えば誰でも応募できる権威の象徴といわれる日展で入選・特選がカネで買え
る。取りあえず書の部門で発覚した不正事件だが、他の日本画、洋画、彫刻、工芸美術も
似たりよったりだろう。審査員に自分の作品を写真に撮って事前に送れば、事前指導とい
って特段の配慮をしてもらえる。勿論カネや商品券を同封することはいうまでもない。審
査員の一人は「作品を事前に覚えるのに手間がかかるのでタダというわけには行かない」
といっている。
 徳洲会グループの献金・融資が国会議員や地方議員の政治団体に手広く渡っていた。特
に都知事には5千万円が無担保・無利子で提供されていた。無担保は都知事のポスト・権
力で無利子は都知事がこれから行使するであろう便宜の数々。十分に元がとれる。権力と
カネ、政治とカネでは過去にもロッキードマネー、ゼネコンマネー等、枚挙にいとまがな
い。ノンフィクション作家が迷路に迷い込んだ感じがする。
 尚、後日譚であるが、東京電力病院の売却疑惑が表面化し、ついに百条委員会の設置と
職員服務規定違反によって辞任の意向を表明した。
 中国での事業展開をスムースにやるために進出先の地方政府幹部や税関職員に多額の賄
賂を渡していたフタバ産業。理由は有利な取り計らいをしてもらうためだと責任者の元専
務。賄賂の効果は絶大だったと語っている。内部通報、王国の内輪もめ、架空交際費の計
上が表面化した原因である。                    (2014/01)

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