新しい分類用語
鷲見雄一(2011.12.6)
3、4年ほど前から、世の中の人たちの間に「草食系男子」あるいは「肉食系女子」という
言葉が流布されるようになった。どうやら若い男女たちから発生した言葉らしい。
若い人たちの話を聞いていると、どうやら「草食系男子」と言うのは、とても優しいのだが、
反面、優柔不断、あるいは気力に乏しい男子のことで、「肉食系女子」と言うのはバリバリと
仕事をこなし、男の上司に対しても堂々と自説を主張し、気に入った男子には積極的にアプロ
ーチするようなポジティブな女子のようである。
わが国ではもともと、男子たるものすべてが肉食系、女子はすべて草食系であるべしと言わ
れてきたはずである。「男たるもの女を泣かすな」などと言われて育った男も多いに違いない。
それが崩れてきたのは男女同権の思想が世に浸透し始めてからのことだろう。男女同権の思想
自体を非難する気はないが、そのことによって男子が委縮し、「草食系男子」が増えてしまっ
たのだとしたら、少しばかり情けないことである。
「弱き者汝の名は女なり」というシェイクスピアの名文も今や死文でしかない。今や男子た
るもの、女子に優しさや温かさを求めたりするべきではないのである。女性がどんどん強くな
っている中で、「女性専用車両」が出来たのを不満に思う男性もいるようだが、あれは被害妄
想の強い女性から男性を守るために設置されたものと考えれば、納得できるのではないだろう
か。最近では職場の女性の上司からセクハラを受けたとして訴える男子社員まで出ているらし
いから、こうなると、ますます男は草食系動物視されていくことになる。
ところで、こうした分類の方法は、あらゆるものに適用できるような気がする。現在の政治
家たちを「草食系」とすれば、官僚たちは「肉食系」と言うことになる。米国や欧米各国の思
想に左右され過ぎる日本は「草食系」、自国の非を頑として認めず、あくまでも要求だけを押
し付けようとするかに見える北朝鮮は「肉食系」ということになる。かつての軍国日本を「肉
食系」とすれば、今の日本はまさに「草食系」でしかない。
どちらが良い悪いと言うわけではないが、「草食系」という言葉が優柔不断あるいはネガテ
ィブな姿勢を持つことと同意語とされるのであれば、筆者としてはやはり「肉食系男子」であ
りたいと思わずにはいられない。